前橋文学館ブログ

2018年06月28日 まだまだ紫陽花が見頃です

 7月も目前に迫りました。日増しに熱さを増す風に、本格的な夏の訪れを感じますね。
 広瀬川河畔の紫陽花はまだまだきれいに花づいています。本日は広瀬川紫陽花倶楽部の小林さんが、朝から朔太郎像の前に色とりどりの紫陽花を用意してくれました!

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 水面に並んだたくさんの紫陽花が涼しげに、朔太郎橋を行きかう人たちの目を楽しませてくれています。本日の前橋はあいにくの曇り空でしたが、晴れた日に覗いてみると色彩がよりいっそう鮮やかに感じられそうで楽しみです。7月8日まで行われるまえばし紫陽花フェスティバルと併せてお楽しみください。

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2018年06月20日 紫陽花の季節がやってきました

 前橋も本格的な梅雨を迎え、晴れ間の少ない日々が続く中、広瀬川周辺の紫陽花が鮮やかに咲き誇っています。

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 白色系以外の紫陽花が土の酸度に依存した花色を見せることは有名ですが、その変化の仕方は、土の酸性が増すほど青くなり、アルカリ性が増すほど赤みが出るのだそうです。リトマス試験紙の反応とは逆になるんですね。ブログの中の人は紫陽花を育てるようになってから初めて知りました。

 紫陽花と言えば、花言葉の一つに「移り気」があります。その由来は、たとえ同じ場所でも土壌の状態によって咲く花の色が変わるからとも、咲いた後に花の色がうつろうから、とも言われています。

 朔太郎も「こころ」の詩の中で「こころはあぢさゐの花…」と表現しています。捉えどころなく、色とりどりに変化する心の有りようを紫陽花に重ねているのかもしれませんね。

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 写真は、現在開催中の企画展「春は文学館で きゅん。」の一角です。15人の詩人たちがうたった様々な「こころ」の模様を取り上げた本展は、好評につき、会期を7月16日(月)まで延長して開催することになりました。また7月5日(木)から8日(日)までは前橋七夕まつりに併せ、観覧料が無料となります。皆様のお越しをお待ちしております!

2018年05月20日 6月のイベントの申し込み受付が始まっています

旅上

ふらんすへ行きたしと思へども

ふらんすはあまりに遠し

せめては新しき背広をきて

気ままなる旅にいでてみん。

汽車が山道をゆくとき

みづいろの窓によりかかりて

われひとりうれしきことをおもはむ

五月の朝のしののめ

うら若草のもえいづる心まかせに。

萩原朔太郎『愛憐詩篇』

 

 

 日差しが日ごと高く暖かくなるにつれて、おでかけへと心そそられる日々が続きますね。朔太郎がときどき詩に描くような汽車での旅にも憧れます。5月の新緑が生い茂る中を駆ける汽車の窓辺から、少しひんやりとした風を感じてみたくなります。

 さて、そんな5月もそろそろ終わりに近づき、前橋文学館では6月より始まる各種イベントのお申し込みを受付中です!イベントの詳細についてはこちらをご覧ください。

 

 先日、イベントのひとつであるポエムリーディング「心を読む」の本番を前に、第14回群馬県高校放送コンクールの入選者の生徒さんたちがリハーサルに来てくださいました。リハーサルの様子を見ていると、ともすれば黙読しがちな詩を声に出して読むことで、ことばの響きがより直感的に、感情豊かに伝わってくるような印象を受けました。

 ポエムリーディング「心を読む」の開催は6月9日(土)。高校生たちの瑞々しい感性を通した詩の朗読をぜひお楽しみください。本番にはアナウンサーの奈良のりえさん、詩人の新井隆人さん、長井学さんのピアノ演奏が加わり、聴き応えばっちりにお届けできると思います。

 

 また、対談「我らの寺山修司体験」では、実際に青年時代を演劇実験室「天井棧敷」で過ごした安藤紘平氏(早稲田大学名誉教授)と、萩原朔美館長による貴重な体験談を軽妙なトークで語ります。天井棧敷でのエピソードや、互いに映像作家であるふたりから飛び出すであろうお仕事の話は、寺山修司ファンはもちろん、そうでない方も必聴です。こちらもお楽しみに!  

2018年05月11日 キャストの皆さんが遊びに来てくれました

 本日5月11日は萩原朔太郎の命日です。毎年、この日に最も近い土曜日に開催される朔太郎忌の開催が、いよいよ明日に迫りました。昌賢学園まえばしホールにて、皆様のお越しをお待ちしています!

 また今回の朔太郎忌に先駆けて、第2部リーディングシアターの出演者である堀内正美さん、柳沢三千代さん、斉藤佑介さんが文学館を訪れてくださいました。堀内さん、柳沢さん、斉藤さん、明日はよろしくお願いします!

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2018年05月08日 もうすぐ第46回朔太郎忌です

 萩原朔太郎の命日に近い土曜日に行われる朔太郎忌が、今年も近づいてまいりました。
 今回で第46度目の開催となる朔太郎忌「虹を追ふひと」は、5月12日(土)午後2時から昌賢学園まえばしホール(小ホール)にて開催いたします。まだお席に若干の空きがございますので、ぜひ前橋文学館ほかプレイガイドにてチケットをお申し込みのうえ、会場にお越しくださいませ。遠方の方に向けたチケットのお取り置きも行っています。詳しくはこちらのページをご確認ください。

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 また、第2部リーディングシアターにご出演の柳沢三千代さんが、アニメ「アンパンマン」秘話を特集した「1周回って知らない話」(日本テレビ)にゲスト出演されます。柳沢三千代さんは、「アンパンマン」にてカレーパンマン役を担当する声優さんで、前年おこなわれた第45回朔太郎忌におけるリーディングシアターでも、主人公の少年役を見事に演じ切ってくださいました。放送は明日9日(水)午後7時から。こちらもあわせてご覧ください。予告映像はこちらのサイトからご確認いただけます。

2018年05月04日 5月になりました

 ゴールデンウィークも後半戦となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。5月を迎えた前橋の気候は初夏のように気持ちよく、過ごしやすい日が続いています。子どもの日を目前に控えて、今年も文学館前の朔太郎さんがおめかしして皆さまをお待ちしています!手に握ったミニ鯉のぼりがかわいいですね。兜飾りはスタッフが新調したもので、よくよく見ると5月12日に行われる朔太郎忌のロゴマークも。朔太郎忌はまだまだ残席がございますので、朔太郎さん、宣伝よろしくお願いしますね!

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 また前橋文学館では現在、「春は文学館で きゅん。」展を開催中です。 2階は「詩はこころをどのように描いたか」のコーナー。約20篇の詩が視覚的に展示され、普段とはまた違った雰囲気の空間に仕上がっています。どのスペースも撮影可能です。ぜひお気に入りの「きゅん。」詩を探してみてくださいね。

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 3階は「寺山修司のラブレター」のコーナー。本日で没後35年となる、詩人・歌人であり鬼才の劇作家でもある、寺山修司がのちに妻となる九條映子(女優)に宛てたラブレターと、二人の写真を多数展示中です。当時の演劇のポスターや、実際に天井棧敷に創立メンバーとして参加していた当館館長萩原朔美が保存していた資料や演劇写真もパネル展示しています。ぜひご覧ください。

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2018年03月29日 文学館にも春が訪れました。

 年度末はあっという間に過ぎて行ってしまいます…。陽気もいよいよ暖かくなり、本格的な春の訪れに喜びを感じるこの頃です。広瀬川周辺の桜もいっせいに見ごろを迎えました。かわいらしい桜の花びら、見ているだけでこころが「きゅん。」となりますね。

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 前橋文学館では4月14日(土)より新たな企画展、その名も「春は文学館で きゅん。」展が始まります!

「春は文学館できゅん。」フライヤー表(小)

 フライヤーイラストは、イラストレーターであり、寺山修司の「天井桟敷」のポスター制作を行われたこともある宇野亜喜良さんに手掛けていただきました。(もうかわいくてかわいくて…。)

 本展は 「詩はこころをどのように描いたか」「寺山修司のラブレター」の二本立てて展開する内容となっており、企画展タイトルに負けないよう軽やかで情熱的な展示を目指して担当スタッフが日々構成を練り続けています!詳細は近いうちにイベントページなどからお知らせしていきますので、もう少しお待ちくださいませ。

 

 

 また近ごろ、文学館2階の萩原朔太郎展示室では「詩のステージ」のリニューアルを行いました。

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 これにより、機材の経年劣化により皆さまにお聴きいただけなくなっていた分も含め、萩原朔太郎の詩24篇をすべて視聴していただくことができるようになりました。中でも23番の「乃木坂倶楽部」は、朔太郎の肉声での朗読となっていますので、開放的なスペースに生まれ変わった「詩のステージ」にてぜひお聴き頂ければと思います。

2018年02月14日 文学館のバレンタインデー

 本日はバレンタインデー。文学館前の朔太郎さんも、愛のこもったプレゼントに囲まれています。台座にあるプレゼントの箱は、文学館向かいの幼稚園のこどもたちがにぎやかに飾りつけてくれました。モテモテな朔太郎さん、よかったですね。

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 館内1階の朔くんもハートのプリント帽子をもらってあたたかそうです。

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 また、2月14日は室生犀星が朔太郎を訪ねて初めて来橋した日でもあります。大正3(1914)年のことで、3月7日までの間、前橋公園からほど近い一明館に滞在しました。

 大正2年の春の終わり頃、『朱欒』に掲載されていた犀星の「小景異情」という小曲風の作品に感動した朔太郎が、まだ見ぬ犀星に熱烈なファンレターを送ったことにより交流が始まります。しかしその間に互いに幻想を抱いていたようで、実際に逢ってみてそのギャップに驚くやら、絶望するやら…。そんな二人の初対面の印象を綴ったエピソードは有名です。

 

郷里の停車場で始めて逢つた時の室生は、詩から聯想してゐたイメーヂとは、全でちがつた人間であつた。私は貴族的の風貌と、青白い魚のやうな皮膚を心貌(しんばう)に画いて居た。然るに事実は全く思ひがけないものであつた。妙に肩を怒らした眼のこはい男が現はれた時、私にはどうしてもそれが小曲詩人の室生犀星とは思へなかつた。

 

萩原朔太郎「室生犀星の印象」『秀才文壇』大正7年6月号より

前橋の停車場に迎へに出た萩原はトルコ帽をかむり、半コートを着用に及び愛煙のタバコを咥(くは)へてゐた。第一印象はなんて気障(きざ)な虫酸(むしず)の走る男だらうと私は身ブルヒを感じた

室生犀星「わが愛する詩人の伝記」『婦人公論』昭和33年3月号より

 

 

 

 第一印象こそ最悪だったふたりですが、詩という共通の話題もあり、次第に打ち解けあって、ついには生涯にわたる親友として交流が続きました。「室生犀星の印象」は、次のように続きます。

 

かういふわけで、室生の最初の印象は甚だ悪かつた。容貌ばかりでなく、全体の態度や、言葉づかいや、言行からして、何となく田舎新聞の記者とかゴロツキ書生とかいふ類の者を思はせる所があつた。然るに不思議なことは、その後益ゝ彼と親しんでくるに従つて、彼の容貌や、そのユニツクな人格や態度が、奇体に芸術的な美しさを以て見られてきた。「愛とは美なり」といふことは、実際どんな場合にも事実である。彼と私との友情が如はるに順つて、始め不快であつた彼の怪異な風采が、次第次第に快美なリズムに変つてきたのは不思議である。

 

 ふたりの親密な交流につきましては、過去の前橋文学館の企画展図録『萩原朔太郎・室生犀星の交流』に詳細にまとめてあります。現在ショップでのお取り扱いはありませんが、ご興味のある方は4階閲覧室にてご確認ください。

 

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2018年02月12日 「〈若い芽のポエム〉20年記念展 詩はタイムカプセル かも?」開催中です

 前橋文学館3階オープンギャラリーでは2月10日(土)より「〈若い芽のポエム〉20年記念展 詩はタイムカプセル かも?」が開催されています!当企画展では第1回から第20回で終了するまでの〈若い芽のポエム〉歴代美棹(金)賞、銀賞、銅賞受賞者の作品パネルが展示されています。他にも歴代のポスターや入選作品の原稿などもご覧いただけ、〈若い芽のポエム〉のあゆみが一目でわかる空間となっています!

 

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 さらに本展では、第9回中学生の部にて美棹賞を受賞した経歴を持ち、現在はファンタジー作家として活躍中の阿部智里さんのコーナーを設け、代表的な作品である「八咫烏」シリーズをご紹介しています。原稿の校正刷りや、貴重な自筆創作ノート、阿部さんの美棹賞受賞原稿などを展示し、阿部さんの創作の世界観に迫っています。

 また2月11日(日)には、阿部さんをお招きしての対談イベントが行われました。著作の制作秘話やシリーズに込められた思い、ご自身の作家になるまで、若い芽のポエムの思い出など様々なお話を館長との対談の中で楽しくお聞かせいただきました。

 

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 展示の一角に、大きな樹のイラストがあります。こちらには本展をご覧になっての感想や、若い芽のポエムの思い出などを自由に書き込んでいただければと思います。応募者の皆さんからの、当時を振り返ってのコメントなども大募集中です!

 

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 開催期間は4月8日(日)まで。ぜひご覧ください。

2018年02月08日 寒い日が続きますね

 立春を過ぎたとはいえ、まだまだ凍えるような日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。前橋市では2月1日より2日にかけて今年二度目となる降雪があり、朔太郎橋に雪だるまが登場しました。

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ときどき表情が変わっているような…?帽子がちょっと朔太郎のトルコ帽に見えるのがポイントです!

 

 雪だるまを見つめる朔太郎像も心持ち寒そうに見えて、2月に「南の海へ行きます」(「侏儒」第6号・大正4年2月号収載)などという詩を読んだ朔太郎さんの気持ちが身に沁みるようです。

 

南の海へ行きます

 

ながい疾患のいたみも消えさり、

浅間の山の雪も消え、みんなお客様たちは都におかへり、

酒はせんすゐにふきあげ、

ちらちら緋鯉もおよぎそめしが、

私はひとりぽつちとなり、

なにか知らねど泣きたくなり、

せんちめんたるの夕ぐれとなり、しくしくとものをおもへば、

仲よしの友だちうちつれきたり、

卵のごときもの、

菓子のごときもの、

林檎のごときものを捧げてまくらべにもたらせり、

ああ、けれども私はさびしく、

いまはひとりで旅に行く行く、

ながい病気の巣からはなれて、

つばきの花咲く南の島へと行かねばならぬ、

つばめのやうに快活に、

とんでゆく、とんでゆく。

 

けふ利根川のほとりに来てみれば、

しだいに春のめぐみを感じ、

雪わり草のふくめるやうに、

つちはうららにもえあがり、

西も東も雪とけながれ、

めんめんとして山狭(はざま)にながれ、

光り光れる山頂(いただき)さへ、

ひろごる桑の畑さへ、さびしい病人の涙をさそふよ、

しみじみとおもへば、

故郷(ふるさと)の冬空はれ、寂しくて寂しくてたへざれば、

いまはいつさいのものと別れをつげ、

あしたはれいの背広を着、

いつもの軽い靴をはき、

まだ見も知らぬ南の海へあそばうよ、

その心もちも快活に、

みなさんたちに別れをつげ、

きさらぎなかばのかしまだち、

小鳥ぴよぴよと空に鳴きつれ。

―二月一日―

 

 寒さを吹き飛ばすかのような南の海への情熱的な旅情は、連日寒さが続くからこそ共感を誘います。それにしても、南の海を思う朔太郎の麗らかな気分がいっそう美しく感じられ、せめて心だけでも温かい海へ、つられて飛んでゆきたくなりますね…。

 

 さて、前橋文学館では2月10日より開催される次回の企画展「〈若い芽のポエム〉20年記念展 詩はタイムカプセル かも?」に向けて日々準備を行っています!これまで多数応募いただいた小、中、高校生たちの粒ぞろいの作品から、それぞれ美棹賞(金賞)、銀賞、銅賞に選出された詩を、180篇ほどずらーっと並べて展示いたします。ただ今パネルを作成しているところですが、ついつい作品を読みふけってしまい、なかなか作業が進みません…。子どもたちの持つみずみずしい感性や鋭い目線、愛らしい語感などなど…魅力たっぷりな作品が一堂に集結します。ぜひ企画展にお越しになって、実際に感じてみてくださいね。また、これまで応募してくださった方や、関わってくださった皆様のメッセージも絶賛募集中です!

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