【ああ これはなんという美しい憂鬱だろう ムットーニのからくり文学館】ごあいさつ
2021年10月09日
「ムットーニング」
文学と音楽の世界を人形カラクリに翻訳する。イメージを物質に変換させる。それがムットーニ作品である。まるで神の領域だ。だからかどうか、ムットーニ作品を観ていると、自分が空から下界を窃視しているような奇妙な感覚に襲われる。艶かしいのだ。どの作品にも、生の実相が潜んでいるのである。
しかも、その艶かしさの底辺にユーモアが隠蔽されている。神の領域から眺めればあらゆる出来事は喜劇である。ムットーニが愛されるのは、人形の繊細な動き、微妙なライティング、ツイストエンディング的な展開、シュールな舞台美術に通底する喜劇性にあるのだ。
今回は、朔太郎の世界を表現した新作が加わった。今までにないマルチな構成で楽しませてくれる。ムットーニ王国へのツアーを、ゆっくりと堪能して頂ければ幸いです。