館長の言葉29
2021年01月13日
薔薇の花束を貰った時、人はどんな反応を示すだろうか。
花びらに手を伸ばす人は居ない。花を数える人も居ない。花の名を口にしする人も少ない。
ほとんどの人は、花が発散する芳しさの実相が知りたくなって、すぐに鼻を近づけるだろう。
いつの日か、文学館のイベントが薔薇の花束になれたら素晴らしい。受け取った入館者が、思わず手にした花束に顔を埋める。本数をかぞえるのではなく、花弁の色を愛でるのでもない。深呼吸し、身体の芯に芳しさのすべてを取り込みたくなってしまう美しく個性的な企画展示。
入館者の一人一人に薔薇の花束を手渡すこと。それが、明日の前橋文学館の目標である。