【わたしたちはまだ林檎の中で眠ったことがないー第27回萩原朔太郎賞受賞者 和合亮一展】ごあいさつ
2020年02月08日
降りそそぐ言葉
表現する者は、「何故自分は表現に向かうのか」と自問する。その解答が表現に溶け込んでいる。
和合亮一さんの詩を読むことは、質問と答えとが入り混じる大海原への刺激的な航海だ。だから、心が揺り動かされるのである。
また、表現する者は炭鉱のカナリヤであることを自覚している。先頭での祈りと叫び。
和合亮一さんの詩は、どこに行こうか共に考えようと呼びかけている。だから強く共感するのである。
今回の、「第27回萩原朔太郎賞受賞者 和合亮一展」は、詩人が体験したあらゆる出来事に表現者としてどう立ち向かったのか、唯一の武器である言葉とどう向き合ったのかを展示のコンセプトにしたものだ。
詩の発生は、言葉の起源ではなく、他者の発見からではないか。そんな思いも込めて、館内に降りそそぐ和合さんの言葉たちと出逢っていただけたら幸いです。
そして、和合さんの質問の答えを探す旅に、それぞれがそれぞれの方法で出発することを心から願ってやみません。