【定点観測展 萩原朔美の仕事vol.2 】ごあいさつ
2019年04月20日
広瀬川は、もちろん同じ川ではない。毎日生死を繰り返している。「パンタレイ」万物流転であり、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」である。
両岸に咲いている櫻は、散るから花見したくなるのである。
死のメタファーは最も人を惹きつける。愛でているのは美しい花ではなく、美しい死なのだ。でなければ、花見がこんなに盛んなわけがない。
定点観測という方法は、写真を使った死の観察だ。神の視線のシュミレーションである。どんな悲劇も、神という距離から眺めれば喜劇である。
だから、定点観測写真は、時におかしく、悲しいのである。
今回の仕事展は、定点観測写真と、定点観測的な発想から生まれた動画を展示した。こりもせず、あきもせず、長年続けたチリの山を展示して廃棄すれば、また何か新しく作り始められるかも知れない。そんな思いを含んだレクイエムが流れる展示でもある。たのしんでいただけたら幸いです。