萩原恭次郎生誕120年

2019年05月23日

 本日5月23日は、前橋市出身の詩人である萩原恭次郎の120歳の誕生日です。

 明治32(1899)年に生まれた萩原恭次郎は、「赤と黒」ほか多数の文芸雑誌を発刊しました。また詩集『死刑宣告』『断片』を出版し、未来派、ダダイズム、構成派の風を詩作へ取り入れたことで、新たな途を拓きました。村山知義ら「マヴォ」グループが発行していた機関誌「マヴォ」にも途中から同人として加盟。編集にも参加するなど、日本における前衛芸術運動の前進に深くかかわりました。

 

 同姓である萩原朔太郎と血縁関係はありませんが、同郷同窓であり、同時代を生きた詩人として親交がありました。朔太郎が『純情小曲集』自序にて以下のように綴ったことからも、恭次郎への信頼がうかがえます。

 

(前略)

私の芸術を、とにかくにも理解してゐる人は可成多い。私の人物と生活とを、常に知つてゐる人も多少は居る。けれども芸術と生活とを、両方から見てゐる知己は殆んど居ない。ただ二人の友人だけが、詩と生活の両方から、私に親しく往来してゐた。一人は東京の詩友室生犀星君であり、一人は郷土の詩人萩原恭次郎君である。

(後略)

 

 同作には、恭次郎による跋文も寄せられています。

 他にも朔太郎は、恭次郎が詩集『死刑宣告』『断片』を刊行した際には、恭次郎を独自の才能を持つ新進気鋭の詩人として高く評価しました。また恭次郎も、朔太郎の著作について多くの文章を残しています。

 前橋文学館では、そんな萩原恭次郎生誕120周年を記念した企画展の開催を予定しています。続報をお楽しみに。

 

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