寒い日が続きますね

2018年02月08日

 立春を過ぎたとはいえ、まだまだ凍えるような日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。前橋市では2月1日より2日にかけて今年二度目となる降雪があり、朔太郎橋に雪だるまが登場しました。

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ときどき表情が変わっているような…?帽子がちょっと朔太郎のトルコ帽に見えるのがポイントです!

 

 雪だるまを見つめる朔太郎像も心持ち寒そうに見えて、2月に「南の海へ行きます」(「侏儒」第6号・大正4年2月号収載)などという詩を読んだ朔太郎さんの気持ちが身に沁みるようです。

 

南の海へ行きます

 

ながい疾患のいたみも消えさり、

浅間の山の雪も消え、みんなお客様たちは都におかへり、

酒はせんすゐにふきあげ、

ちらちら緋鯉もおよぎそめしが、

私はひとりぽつちとなり、

なにか知らねど泣きたくなり、

せんちめんたるの夕ぐれとなり、しくしくとものをおもへば、

仲よしの友だちうちつれきたり、

卵のごときもの、

菓子のごときもの、

林檎のごときものを捧げてまくらべにもたらせり、

ああ、けれども私はさびしく、

いまはひとりで旅に行く行く、

ながい病気の巣からはなれて、

つばきの花咲く南の島へと行かねばならぬ、

つばめのやうに快活に、

とんでゆく、とんでゆく。

 

けふ利根川のほとりに来てみれば、

しだいに春のめぐみを感じ、

雪わり草のふくめるやうに、

つちはうららにもえあがり、

西も東も雪とけながれ、

めんめんとして山狭(はざま)にながれ、

光り光れる山頂(いただき)さへ、

ひろごる桑の畑さへ、さびしい病人の涙をさそふよ、

しみじみとおもへば、

故郷(ふるさと)の冬空はれ、寂しくて寂しくてたへざれば、

いまはいつさいのものと別れをつげ、

あしたはれいの背広を着、

いつもの軽い靴をはき、

まだ見も知らぬ南の海へあそばうよ、

その心もちも快活に、

みなさんたちに別れをつげ、

きさらぎなかばのかしまだち、

小鳥ぴよぴよと空に鳴きつれ。

―二月一日―

 

 寒さを吹き飛ばすかのような南の海への情熱的な旅情は、連日寒さが続くからこそ共感を誘います。それにしても、南の海を思う朔太郎の麗らかな気分がいっそう美しく感じられ、せめて心だけでも温かい海へ、つられて飛んでゆきたくなりますね…。

 

 さて、前橋文学館では2月10日より開催される次回の企画展「〈若い芽のポエム〉20年記念展 詩はタイムカプセル かも?」に向けて日々準備を行っています!これまで多数応募いただいた小、中、高校生たちの粒ぞろいの作品から、それぞれ美棹賞(金賞)、銀賞、銅賞に選出された詩を、180篇ほどずらーっと並べて展示いたします。ただ今パネルを作成しているところですが、ついつい作品を読みふけってしまい、なかなか作業が進みません…。子どもたちの持つみずみずしい感性や鋭い目線、愛らしい語感などなど…魅力たっぷりな作品が一堂に集結します。ぜひ企画展にお越しになって、実際に感じてみてくださいね。また、これまで応募してくださった方や、関わってくださった皆様のメッセージも絶賛募集中です!

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