文学館のクリスマス

2017年12月21日

 師走とはよく言ったもので、あっという間に12月も半ばを過ぎ、日ごと深まる寒さに、本格的な冬の訪れを感じています。

 クリスマスシーズンの到来に併せて、前橋文学館前の朔太郎さんも、今だけはオシャレにクリスマスの装いで澄ましています。文学館ロビーには少し前から白いツリーが飾られ、4階のBOXY屋台もいつもと違った飾りつけで皆様をお出迎えしています。

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 朔太郎が生きた時代にもクリスマスを楽しむ風習はあったようで、朔太郎は詩と随筆に、それぞれ「クリスマス」「クリスマスの悲哀」などを残しています。

 

クリスマス(「令女界」昭和2年12月号より)

 

クリスマスとは何ぞや

我が隣の子の羨ましきに

そが高き窓をのぞきたり。

飾れる部屋部屋

我が知らぬ西洋の怪しき玩具と

銀紙のかがやく星星。

我れにも欲しく

我が家にもクリスマスのあればよからん。

耶蘇教の家の羨ましく

風琴の唱歌する声をききつつ

冬の夜幼なき眼に涙ながしぬ。

 

 幼い子どもが、隣家の窓辺からクリスマス飾りできらびやかに彩られた暖かな家庭を、目に涙をためながら覗いているというなんとも切なく、それでいて愛らしい様子が目に浮かぶようです。クリスマスらしく華やかで賑やかな内容…という発想にはいかないところが、朔太郎さんならではといったところでしょうか。

また「クリスマスの悲哀」(1936(昭和11)年に東京朝日新聞掲載)には

 

“クリスマスで町が賑はつてゐる。キリスト教徒でもない日本人がクリスマスを祝祭するとは何事だらう。”

 

などと書かれていることから、萩原家ではクリスマスを祝う風習は特になかったのかもしれません。「クリスマスの悲哀」からは朔太郎がクリスマスに複雑な思いを寄せていることがうかがえます。

 

 さて、そんなクリスマスに関してですが、前橋文学館では12月23日に前橋高校の音楽部によるコンサートが開催されます。詳細はイベントページよりご確認いただけます。高校生による力強く伸びやかな合唱、アカペラ、クリスマスソングなどをぜひお楽しみください。

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