本日は萩原朔太郎の命日です。
2017年05月11日
今から75年前の本日、詩人萩原朔太郎は肺炎のため亡くなりました。生涯の親友であった室生犀星は、その死に際し以下の詩を残しています。
「やあ。」
われわれはこんなふうに
冒頭の言葉を置いて行きあひ、
そしてまもなくだまつて盃をなめ合ひ、
いがみあひ、
ののじりあひ、
そしてまもなく失敬といつて
いつも街角で別れた。
卒気なく
みれん気もなく
ちつとも面白くなく
親友らしく見えず。 「親友」
はらがへる
死んだきみのはらがへる
いくら供へても
一向供物はへらない
酒をぶつかけても
きみは怒らない。
けふも僕の腹はへる、
だが、きみの腹はへらない。 「供物」
他にも、博文社から出版された『我友』(1943年7月)には、朔太郎を偲んだ詩がこの2篇を含めて21篇ほど収録されています。通して読んでみると、もっとも身近に親しみ合った友である犀星だからこそ持ちえた朔太郎への想いと感慨が伝わってきます。また、「供物」は「四季」萩原朔太郎追悼号(1942年9月号)の巻頭を飾りました。
朔太郎の命日を受け、今年ももうすぐ朔太郎忌を迎えます。親友だった朔太郎と犀星、そしてふたりの師である北原白秋とのやりとりをリーディングシアターとして起こした「『月に吠える』を声で立ち上がらせる」を、5月14日に開催します。
今日の夕べは朔太郎の詩集を開いて、朔太郎や親友・犀星らとの交流に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。